この手


視界を埋め尽くす白

細い背中

いつもの寄り道

開けた蒼


さよなら


さよなら


振り返らないで歩くとしたら

あなたは光の方

わたしは闇の方


すくわれなくていいよ


きっと全てはかない


ぽたりぽたり


影が揺れたよ

喉を攫って

忘れそうになったのは笑うことじゃない

涙の在りか


ゆるやかな坂を

ずっとずっと

たとえ足が動かなくなっても


あなたはしあわせ?



目を閉じてる間に全てが嘘になればいいのに

出会ったことも
愛したことも

思い出は十字架になり少しずつ蝕まれていく光
幸せの残骸が甘い毒の様に私を部屋に張り付ける

もうどこにも行けないの

約束は鎖となり空白を潰していく日々
遺された言葉が偽り真実狂わせて自らすら危うくさせる


数える指など要らない
言葉など要らない
躰など要らない

あなたが必要としないなら

全てが嘘に全てが夢になれば
何度も微かな光に祈った

でも出会ってしまったから
でも愛してしまったから

もう私はあなたから離れられない

何の確証もない
だけどそれがあなたの言葉だから
私はただ盲目に受け入れるしかない

そのドアが再び開くその日まで
この狭い部屋で
僕と初めて出会った時
貴方は少し疲れているみたいだった
少し背伸びをしても
僕を頼ってはくれない

僕だってもう子供じゃないのに
好きだよ

好き

優しい雨の様にぽたぽたと溢れる君の言葉を
ただ聞くことしかできなかった
抱き締めれば壊れてしまう脆弱さ
其れを守るのは僕じゃないと思う

どうして君は僕なんて好きになったの

僕らは擦れ違ってばかりいるね
傘ひとつ差さずにこの世界で
上手くいかないのはいつもの事だけれど

傷ついて
それで
また臆病になって

いつ晴れた空に目を向けられるんだろう

 この恋は叶わない

 叶うはずなどない

 口には出せない


 きっとそれは永遠に私の中へ残る


 例えこの身が朽ちても

 透明な重みのように


 どうしてこんなにも苦しい道ばかり選んでしまうのだろう

 傷つけるための言葉なら捨てられたのに

 偽りのない言葉をどうすればいい?